早苗ちゃんに手を引かれてる間、どうにも涙が止まらなかった。


ナオちゃんと別れるつもりはもちろんない。こんなに大好きなのに、そんな選択肢があるわけない。


なのに、私の心は決壊したダムみたい。その貯水していた心の水が、きっとこの涙なんだ。


ちゃんと放水し終わったら、私はナオちゃんの優しさを寛大な心で笑ってあげれるようになるのかな。


「あーあ……俺じゃその涙を止めることが出来ないのが悔しい」


早苗ちゃんがぽつりと呟いた台詞が、妙に響いて離れない。


この涙は、多分ナオちゃんにしか止められないんだと思う。


早苗ちゃんの言葉にも何も感じれなくて、私の頭には、高坂さんを追いかける大好きな人の背中が、何度も、何度もフラッシュバックしていた。