お母さんと智さんが目を見開いて俺を見ている。
姫さんに手をあげた。その事実に、心がずきずきんと痛みを帯び、今にも朽ち果ててしまいそう。
姫さんは、その大きな瞳に涙をいっぱい溜めて唇を噛み締めて部屋を飛び出す。
「……尚志、あんなことして良かったのかよ?」
複雑な顔の智さん。良くない。良いわけがないけど、でも。
「叩かれた姫さんも痛い。叩いた俺だって、もちろん痛いよ。……でも、母親として否定されたお母さんが一番痛いんです」
沈黙の中、一連の出来事を黙って見ていたあのお母さんが、ぽろぽろと泣き出した。
その涙が何に対してかなんて、俺に全部分かるわけじゃない。けれど、その涙は、きっと姫さんや智さんへの想いなのだろう。
「俺は、どんなに認めてもらえなくたってお母さんに感謝してる。だって姫さんを生んで、育てて、愛情を注いだ人だから。きっと姫さんだってホントはそうなのに、素直になれないだけなんです」
意地っ張りな、不器用な姫さんだけど、心ではお母さんや智さんのことを大切にしてるんだよ。
言いたいことだけ一方的に言うと、俺は、傷付けてしまった姫さんを追い掛けた。
姫さんに手をあげた。その事実に、心がずきずきんと痛みを帯び、今にも朽ち果ててしまいそう。
姫さんは、その大きな瞳に涙をいっぱい溜めて唇を噛み締めて部屋を飛び出す。
「……尚志、あんなことして良かったのかよ?」
複雑な顔の智さん。良くない。良いわけがないけど、でも。
「叩かれた姫さんも痛い。叩いた俺だって、もちろん痛いよ。……でも、母親として否定されたお母さんが一番痛いんです」
沈黙の中、一連の出来事を黙って見ていたあのお母さんが、ぽろぽろと泣き出した。
その涙が何に対してかなんて、俺に全部分かるわけじゃない。けれど、その涙は、きっと姫さんや智さんへの想いなのだろう。
「俺は、どんなに認めてもらえなくたってお母さんに感謝してる。だって姫さんを生んで、育てて、愛情を注いだ人だから。きっと姫さんだってホントはそうなのに、素直になれないだけなんです」
意地っ張りな、不器用な姫さんだけど、心ではお母さんや智さんのことを大切にしてるんだよ。
言いたいことだけ一方的に言うと、俺は、傷付けてしまった姫さんを追い掛けた。



