そして、ホントにあっという間に姫さんのマンションに戻る前夜になる。


晩御飯はお母さんが作ってくれた料理をいただく。お母さんの料理は、冷たい視線とは裏腹に心をぽかぽかにしてくれる温かさだ。


「姫子さん。今回は広瀬さんがいましたからお見合いは出来ませんでしたが、近いうちに必ずしますから。頭に入れておいて下さいね」


淡々と言うお母さんに、思わずがっくり来てしまう。俺、結構頑張ったつもりだったんだけどな。


でも、姫さんを想っての親心って分かってるから、お母さんのことを恨めなくて心中複雑。


「……お母さんは、何故そんなにお金にこだわるのですか?」


その気持ちを知らない姫さんが、びっくりするくらい冷たくお母さんに尋ねる。


「そんなの、お金さえあれば何不自由ない生活が出来るからに決まってるてしょう?」


そんな姫さんに向かって親心を完全に隠し、眉ひとつ動かさずお母さんは言い返した。