だから、お母さんの話を聞いて思ったこと、自分の考えていることを、しっかり伝えようと決めて、俺は口を開いた。


「……幸せって、本当に経済的に安定してることでしょうか?俺は、それは違うと思います」


その俺のお母さんの考えを否定するその言葉に、お母さんから刺々しい視線が突き刺さるが、言葉を、何とか紡ぐ。


「僕の家は父母と三人です。決して、経済的に潤ってるわけではありません。だけど、二人の子供で良かったと心から思うし、幸せだと思います。……だから、貴方に必ず、僕と姫子さんのこと認めて頂きます。諦めません、絶対に」


言い終わった後、これまでの意思は更に色濃く強くなったし、同時に俺と姫さんとのことを認めてほしいという気持ち以外の、ある気持ちが芽生えた。


それは、お母さんに、幸せは『笑顔』でいれることだと教えてあげたいという、一種のお節介。


その為にも、俺が出来ることを全力でぶつけようと、頑張ろうとそう思えた。