「だけど最初はなかなかママに受け入れてもらえなくて。俺、めちゃくちゃフられてさ。ママがプロポーズを受けてくれたのは、8度目の時だったよ」


二人はそんな大恋愛をして、今の、見てるこっちが優しい気持ちになる関係になれたんだって、率直に思う。


「後になって尚志が俺の子だって知って驚いたよ。でも、驚きより、嬉しさの方が強かったかな。尚志は俺にとって、ママと同じくらいの宝物。そんな尚志が俺の血を分けた息子だったんだから、嬉しくない訳がない」


既に泣いていたママに加えて、話し終わったパパまで泣き出してしまう。


ナオちゃんはこんなに愛情たっぷり大切にされたんだね。だからあんなにいい子に育ったんだ。ナオちゃんは、世界で一番幸せな子供だよ。


私も涙ぐんじゃって、ソファーで寝ているナオちゃんの背中を見つめる。


……気がついちゃったんだ、微かにナオちゃんの背中が震えてるのを。


きっと話を聞いてたんだ。だけど、私は気づかないふりをして、3本目のビールに手を伸ばした。