「ねぇ姫ちゃん」


缶ビールも4本目、ママがほろ酔い気味に私にに話しかけてくる。ママペース早いよ、凄いなぁ。


「ママ、どうしたんですか?」


私が尋ねると、ママは何故か涙目になる。その顔に、ナオちゃんがあざと可愛いのはママ譲りだと悟る。


「あのね、何でもないけど、姫ちゃんみたいな子が尚志の彼女で嬉しくて」


「ちょっ……ママー、泣かないで下さいよ!」


ママは鼻を啜って泣き始めてしまい、困った私はパパに視線で助けを求める。


「ママは飲むと昔のことを思い出すタイプなんだよ」


そんなママを穏やかな瞳で見つめ、優しく撫でるパパ。


「俺達は年齢差ばかりか、立場上で苦労したからさ」


ママを撫でながら、二人のことを静かに語りはじめるパパ。それに、私は静かに耳を傾ける。