「ねぇ姫さん、俺もうすぐ夏休みだし、二人で旅行行かない?」


甘いムードに包まれた中での、ナオちゃんが言い出したのは極上のお誘い。


…有給休暇、取っちゃおうかな。使ってないからかなり貯まってるし。


「あ、旅行代は俺が出すから大丈夫だよ!えへへ」


「えっ!?いいよ!私が出すからよ!社会人なんだから!」


目線だけ上に持ち上げてナオちゃんを見めながら申し出を断ると、ナオちゃんがふにゃあと笑って私の額に手を添える。


「あのCMのおかげで、驚くくらい臨時収入入ったから!使わなきゃ怖くて」


そう言ってキラキラした顔のまま、今度は手を離して私の額ににちゅっと音を立ててキスを落とす。


「どうせなら、二人だけで誰もいないとこ行こうね!」


その笑顔と言葉が嬉しくて、私は首がおかしくなるくらいコクコクと頷いた。