書き終えたものをクライアントに提出して、いよいよ話が進んでいく。


「お昼には合否が出ると思うから、今のうちに他の仕事片付けなきゃ!」


幸四郎は仕事が多くて忙しそう。私なんかまだまだ全然仕事回って来ないのにな。羨ましいし尊敬するよ。


「あ、姫ちゃん、撮影の日、一緒に見に行くよね?」


ノートパソコンから顔を上げた幸四郎が笑顔で尋ねる。尋ねているけどそれには何だか強制的なものも感じていたり。


もちろん返答は、決まっているけど。


「行く行く!絶対見る!ってかダメって言われてもついて行きます!」


「あはは、だよね。そうに決まってるよね」


あったりまえじゃん!  どんなナオちゃんでも私の頭の中に入れとくんだから!映像でしか見れないなんて断固拒否!


なんて力を込めてうずうずしている私と、既に仕事モードオンの幸四郎。


「姫ちゃん、このデータチェックして!何してんの?」



「あっ!はいはいはいー!すみません!」


桶川姫子、26歳。年下彼氏に頭の中乗っ取られちゃってます。こんなで、大丈夫なのかなぁ…私。