ティンパニの音が深く心に届く。 真剣な眼差しが指揮者を睨む。 たった一瞬のことなのに、あなたのティンパニの響きがあたしの心臓と同じリズムを打った。 どうかあたしを見てくれたらいいのに… そんな叶わぬ想いを抱いてしまった。 あたしったらどーしちゃったんだろ 本当に。 心ごと奪われたみたいに視線はそのティンパニの人だけをうつした。 ―――――― ―――― 舞台は一部二部を終え、三部最後の曲となった。 「エリザベート」 聞いたことはないけれど、イメージは厳かな感じなのに 軽くて爽やかな曲。