「えっ!? 夕枝!!」 「おい、どうしたんだ!?」 「ちょっ……、先生、夕枝が……っ」 霞んでゆく意識の外で、柚子と体育教師の声が遠くに聞こえた。 ふと…… 時計塔が目の端に映る。 そこには鬼がいるんだ。 シュウ。 悪戯っ子の笑みを浮かべる異端の存在。 ああ……。 重く、震える瞼から、光が遠のく。 そこで、 私の意識はとぎれた。