―Side Yue―…

シュウが、目覚めない……。



「シュウ……?」



いくら必死に呼びかけても、どれほど激しく肩を揺らしても、シュウは目を開かなかった。

クエスチョンマークばかりが、頭の中を駆け巡る。

なぜ、どうして――と。



「夕枝ちゃん……ごめんな、うちのせいで」


「いいえ……多分、さくらさんのせいではないと思います」


「夕枝ちゃん……」



シュンと項垂れているさくらさんを前にして、責め立てるなんてことはできなかった。

第一、理由がわからないのだ。

シュウが、どうしてこのような状態へと陥ってしまったのか。

泣き出したくなるのを、唇を噛み切れてしまいそうなほどに強く噛みしめて、耐えた。

口の中にパッと鉄の味が広がった。



「痛っ……」


「夕枝、どうしたの?」


「ちょっと、唇を切っちゃっただけだから、大丈夫。どうもしない、よ」



歩美の気遣うような視線を避けながら、そう答える。

歩美には、バレてしまいそうだったから。

強がっているということくらい、歩美は容易く見抜いてしまいそうだったから。