―Side Shu―…

ここは、どこだ……?



暗い。

辺りは真っ暗で、俺の目が悪くなったわけでも、良くなったわけでもないだろうに、圧迫されるような暗闇の中、光は見えない。

なぜだろうか。

考えて、考えて、考えて……。



それでもまだ、深く深く思考の中へとどっぷりと潜っていく。

俺には、時間があるように思えたし、事実、今ここではまさにその通りだったから。

俺はそのことに驚きもしなければ、感激もしなかった。

これが、当然のことだと思えたからだ。



闇の縁からさらにその深遠へと潜っていく、この感覚。

これは何かに似ていると、考える。



ああ。

閃いた事実。

この感覚は、似ているんだ。

俺が、夕枝やさくらに会う前の、無の世界に。



正確に言えば、世界は無などではない。

けれど、俺にとって、無色であったのは確かだ。

彩色を施したのは、俺に関わった人間たちだ。



それは、夕枝と一緒に居る内に、忘れていった事実。



それだけ――俺は、あの平和な日々の中で、幸福を感じていたんだ。