――ガチャ…

「お邪魔しまーす」


「汚くてごめんねー!」



パンプスやらスニーカーやら何やらが下駄箱に乱雑に入れられていて、衣服類もところどころに散らかっている。

普段、家に人を呼んだりしないから油断してたとはいえ、あまりにヒドい。

というか、汚い。



「あー大丈夫大丈夫。慎ちゃんトコよかはるかにマシだから」



……慰められてるのはわかるけど、引き合いに出される坂田君の部屋って一体何なんだろう。

あっけらかんとして答えた歩美を見て、苦笑が漏れる。



「あ、晩御飯ってもう食べた?」


「え? まだだけど?」


「よぉーっし! 私が作ってあげる! 夕枝はそこで座っといてねー!」



これって、普通、彼氏の家に泊まりに来た彼女のセリフじゃないだろうか……。

歩美相手だと、悪い気はしないけれど。



「材料何あるかなぁ~」



語尾にハートか音符のマークがつきそうなくらい、歩美はご機嫌だ。

……任せておこう。

信頼する親友に晩御飯の支度を任せ、私は部屋の掃除にとりかかった。