電車に揺られる事、約一時間。
ようやく、目を閉じていた彼がのそのそと動き始めた。
「よし、降りるぞ」
言われて、慌てて彼の後に着いて行く。
降り立った所は、小さな駅だった。
人の数も少なく、さっきのようなギャルもいない。
出口の所でおじさんに切符を渡し、目の前に広がる田舎の風景に口を開けて見渡した。
先ほどの雨も嘘のように止み、白い靄があたしの視界を狭める。
「すげぇ田舎だろ」
彼の言葉に、ただ頷く。
けれど、この田舎の風景がとても懐かしく感じた。
前住んでいた九州の街以上に田舎だったが、都会とは違う空気に心が落ち着いた。
ふと、中学の時の友達の顔が浮かび、元気かななんて気になった。
小さなバス停には、各時間一本ぐらいしか便がなく、乗り遅れてしまったら、一日の計画が台無しになるに違いない。
あたし達も貴重な一本のバスに乗り、また十分程揺られる。



