あっ――。


小さな希望を持ちながら、あたしはふとある事を思い出した。


あたしは彼の元に駆け寄りながら、もう一つ質問をする。


「ねぇ、三月ぐらいに総合病院にいなかった?多分、見間違いじゃないと思うんだ。
ほらっ、入口で誰かにぶつかったとか――。
覚えてない?」


あたしが聞くと、彼は首を傾げながら天井を見上げていた。


「あぁ、行ったは行ったけど、ぶつかったっけ?」


覚えてねぇと、彼が呟いた。


「やっぱり、あんただったんだ!!
あたしもね、あの時インフルエンザでたまたまあの病院に行ってて。
あんたはなんだったの? 風邪?」


あの時ぶつかった相手はこいつで間違いなかったことがわかり、少し嬉しくなってあたしが問うと、


「あぁ、あん時は――」


と、首の後ろをかきながら、一言言った。





「視力検査。」……と。