「俺があの教会に連れて来られたのは、小学四年生の時だった。親父とお袋が事故で死んじまってさ、親戚中大騒ぎ。
俺を誰が育てるかとか、墓は誰が見るかとか、大人のきたねぇ話しばっかでさ、結局は俺が一人邪魔者扱い。
ふざけんなっての。俺の目の前で口喧嘩を始めて、最終的には親戚の紹介で『太陽の家』に預けられた。
今までいい顔してた奴らがさ、俺の面倒をみないといけないってなった瞬間、急に俺を他人扱いだ。
あの時の俺は、もうなにもかもどうでもよくなってた。
いっその事、親父達と一緒にあの車に乗ってたらよかったのにって、思ってた。
だって、何気に幸せだったから。普通に、親父がいてお袋がいて、一緒に飯食ったり、テレビ見たり、買い物行ったり。
俺には、それだけでよかった。他には何も求めなかった。
だからさ、幸せだったあの頃に戻りたくて戻りたくて……。
そんな事、俺の周りから誰もいなくなった時に思うようになったんだ。
もう、遅いのに。
『太陽の家』に来て、最初は誰とも口を利かなかった。誰も信用できなくなってたし。いずれここにいる奴らも俺を裏切るんだろうって。
だけど……それは違ってた。あいつらは、親に捨てられたんだ。親の温かさなんて、しらねぇんだよ。まだ小さくて、母親に甘えたいだろうに……。
だからさ、俺があいつらを守っていかねぇとって、最近はそう思うようになったんだ。
俺、一番年上だし、なんだかんだで、今は今で楽しいしな」
胸がすごく苦しくなった。
息の仕方がわからない。



