ようやく普通に話せるようになってから、あたしは真っ白な教会を指差した。
彼は自転車を支えながら教会に目をやると、『あぁ』と肩をすくめて話し出した。
「ここ、俺んち」
さらりと、そう言った。
あまりにもさらりと彼が言うので、あたしの頭がついていかない。
ちょっと待って……
――はっ?
『ここ、俺んち』?
疲れてんだから冗談はやめてよ。
不似合いにも程があるでしょ。
あたしは彼にあきれ顔を向けてから、マジマジと教会の辺りを見渡した。
今気がついたけれど、あたしは教会以外の建物には全く目を向けていなかったんだ。
教会を囲む煉瓦の塀に、きれいに手入れされている華やかな花壇。
そして、彼がいつも出てくる門の向こう側。
ぐるっと一周見渡したところで、あたしは彼にあきれ顔を向けるのをやめた。



