「おまえな……
苗字で呼ぶか名前で呼ぶかどっちかにしろよ」
突っ込むところが違うんじゃないかと思いながらも、
「じゃあ、どっちで呼んだらいいの?」
そう返していた。
「勝手にしろ」
そう言って、また自転車をこぎ始める。
「ちょ、待って。
あたしも着いて行く」
彼の背中を追いかけて、全力で走った。
「勝手にしろっ!」
またそう答えて、後ろ向きに手を振った。
裏門からの道はなだらかな下り坂になっている。
自転車にまたがる蔵島恭平は、すいすいと坂を下って行った。
「………。
マジで着いて来たんかい」
髪を乱してボロボロになるあたしに、彼が憐みの目を向ける。
「アホだろ」
教会の前でようやく自転車から降りた彼が、ため息交じりに呟いた。
「あんたが、勝手に、しろって、言うから」
肩で大きく息をしながら、膝に手をつく。
息を整える為に、深呼吸をした。
そして、また同じ質問。
「なんで、ここから行き来してるの?」



