病院の廊下を歩きながら、大きな欠伸をした ――その時だった。 「いたっ……」 受付から受け取った薬の袋。 それを覗きこんで、きっと楽しいであろう高校生活の想像をしていたら、 前から歩いて来る人に全く気づかなかった。 肩と肩が強くつぶかり、思わず顔が歪んだ。 病院の自動ドアの前で、一瞬立ち止まる。 「すみません」 あたしが謝るよりも先に、お母さんが深々と頭を下げた。 あたしなんて、驚いて顔を上げるのに精一杯。 ぶつかった肩が痛くて、顔を歪めながら左肩を押さえた。