「おまえさ、昨日から何やってんの?」


低くて冷やかな声に、あたしの血の気が引いていく。


何もかもが派手な彼に間近で睨まれると、かなりの恐怖で足がすくんだ。


なかなか声を出さないあたしを見て、彼の表情が徐々に険しくなっていく。


だけど、ここで怯んではいけない。


ここまで来た目的を果たさなければいけないんだから。


「どうして……
昨日あんな顔してたの?」


「はっ?」


突然何を言い出すんだと、彼のメンチ切る表情は恐ろしかった。


どうりでみんなが避けるわけだ。


「放課後、泣きそうになってたじゃん」


さらに続けると、彼の眉間のシワが余計深くなった。


彼の長身のせいで、それだけで怖くなる。


自分でも、恐怖のあまり瞳の奥が震えたのがわかった。



「泣きそうなのはおまえだろ。
震えてんじゃねぇか」