「あっ、莉奈ーっ!
遅いぞっ!」
ボールの入ったかごを運ぶ真由が、あたし達の姿に気づき声を出す。
真由の元気な声に反応して、平岡先輩がキャッチボールを中断して駆け寄ってきた。
真由からユニフォームを一着受け取って、
「遅い。待ちくたびれたよ」
真顔で注意した後、いつもの爽やかな笑顔に戻った。
はいと、恭平の前にユニフォームを差し出す。
「――これ」
恭平は差し出されたユニフォームを手にして、呆然としている。
「部室で着替えてこい。
遅刻して来たんだから、急げよ。試合始まるぞ」
平岡先輩は恭平に微笑んだ後、パンと肩を叩き恭平の背中を押した。
顎で部室を指し、もう一度、急げと言う。



