「あら、いいじゃない。
あの子すごくいい子だったし、お母さん大賛成よ。まぁ、最初見た目には驚いたけど」
 

おかずに手を伸ばしながら肩をすぼめるお母さんに、お父さんは少し動揺しているようだった。


「大賛成って――」
 

あたしが口を尖らせて呟くと、お母さんがさらに絡んでくる。


「あら、否定はしないのね。
どうする? お父さん」

「莉奈が、好きなら、別に、いいんじゃないか?」
 

お父さんが、あからさまに目を泳がす。


「そーんな無理しないの。
あなたは昔から鼻が膨らむのよ。嘘ついたり、ショックな事があった時にはっ!」
 

お母さんが意地悪っぽく言うと、お父さんは慌てて鼻を手で隠していた。
 

それを見て、あたしも笑う。
 

あたしの大好きな、家族だ。
 

温かくて、笑顔が絶えなくて、なんでも話が出来て――。
 

前みたいに戻りたいと思っていた。
 

楽しかったあの頃の家族が、戻ってきた。
 

御飯が、すごくおいしかった。