「おばあちゃん、ただいま」
古い家の玄関のドアを横に引くと、懐かしい木の匂いがあたしを包んだ。
家中に充満する、おいしそうな匂い。
それに、線香の匂い。
全てが懐かしくて、心が和んだ。
しばらくすると、家の奥からギシギシと鳴る床の音が聞こえ、おばあちゃんが顔を出した。
「おぉ、莉奈よく来たね。
さぁ、上がんなさい」
腰の曲がったおばあちゃんが、あたしの為にスリッパを出してくれる。
「あら、あんたお友達はね。
来んかったのね」
おばあちゃんが腰をぐっと伸ばして顔を上げると、玄関に隠れていた恭平がひょいと顔を出した。
その瞬間に、おばあちゃんの目が丸まる。
それも無理はない。
あたしが友達を連れてくると言っていたから、おばあちゃんはきっと女の子だと思っていたに違いない。
「どうも、蔵島恭平と申します。
今日はお世話になります」
とても丁寧な口調で、恭平が頭を下げた。
「そうね、そうね。
お友達ってあんたね。
莉奈がいつも世話になってるね」
おばあちゃんは、いつもの柔らかい頬笑みを見せて、恭平に頭を下げていた。
よかった。
おばあちゃんなら、恭平を快く迎えてくれるって思ってたんだ。
「さ、二人ともあがんなさい。
ご飯は出来てるから」
「ありがと、おばあちゃん」



