「だけど、思い出は消えねぇじゃん。
おまえがそうやって、笑いながら今でも思い出せる事があるって、幸せだぜ?」
恭平の手が、あたしの頭に伸びてきた。
乱暴に撫でられた頭が、鳥の巣のようにグシャグシャになる。
「次、行くか」
少しの名残惜しさを残しながら、半年振りに訪れた我が家を後にする。
日が徐々に落ち、あたし達の影が長く伸びてきた。
次に向かうのは、ここから2¸3分もしない場所。
あたしの通っていた中学校。
グラウンドにたどり着くと、部活を終えた生徒達が家路を急いでいるところだった。
正門から校内に入り、昇降口まで歩く。
恭平が、あたしが過ごしていた教室を見てみたいと言ったのだけれど、もう玄関が閉められていて、残念ながら中へは入れなかった。
「もう、閉めんのかよ。早すぎだろ」
「最近何かと物騒だからでしょ?
あたし達みたいな侵入者がいるから」
あたしが肩をすくめて笑いながら言うと、恭平は子供のように口を尖らせた。
その時だった。
「――新森?」



