「着いたぁ!」
両手に荷物を抱えてバスを降りる。
あたしが、15年間育った町だ。
バスで山道を上って来て、お尻が今もじんじんしている。
山の上に位置しているこの町は、眺めが最高。
最近は区画整理が進んでいて、前のように緑は少なくなってしまったけど、大きく深呼吸すると自然の空気があたしの体内に広がった。
バス停の近くには洒落た展望台も出来ていて、そこから見下ろす景色は絶景だった。
朝早く出てきたというのに、今はもう空がオレンジに染まる夕方。
展望台から目の前の海を見渡し、波を打つたびに輝く夕日に、恭平と共に微笑んだ。
「恭平、今日はとりあえず体を休めようか。
疲れたでしょ?」
隣の恭平を見上げると、恭平は海に目を向けたまま、
「いや、行けるところには今日行きたい」
真剣な声で、そう言った。
恭平の目が、オレンジに染まっている。



