──10月。
こちらは冬服に変わり、夕方になると身震いするほど寒くなる。
だけど、九州はまだまだ夏の空気が残っていると思う。
『2,3日、家を空けます』
誰もいないリビングに、手紙だけを残した。
行先は書かずに。
この置手紙を見て、連絡、来るかな……。
「おまえ、親に言ってきたのかよ」
駅のホームで、彼があたしに聞く。
「手紙置いてきた。どうせ仕事だし、見つけるの遅いと思うから、まだ連絡は来ないよ」
あたしは、反対のホームに目を向けたまま言った。
「大丈夫かよ、親。
まぁ、俺が行きたいって言った事だけど」
「全然平気だよ。あたしより、仕事優先だから」
「でも――」
彼が何か言い掛けたところで、新幹線がホームに入ってくる音が響き渡った。
恭平は無言であたしを見下ろしたが、あたしは早く乗ろうと笑顔で答えた。



