「っふ、すげぇ顔」
あたしは、恭平に笑顔をもらい過ぎだ。
自分の手で涙を完全に拭って、恭平の目を見て微笑んだ。
「もう、教会で泣いて、遅刻すんなよ」
「――知ってたの?
教会にいた事」
「おまえが入って行くところが見えたから」
「なんだ。見られてたんだ」
あたしが目を伏せて答えると、恭平はまた階段にドカッと座った。
「声、かけらんなかったから――」
えっ?という顔で恭平を見ると、恭平は乱暴に頭をかいていた。
「泣いてるってわかってるのに、声なんてかけられるかよ。
俺だって、うまく笑えるかわからなかったのに」
恭平は顔をあげてあたしに視線を合わせると、強くしっかりと声を出した。
「もう、一人で泣かないでくれ」
低い声だった。
すごく、真剣で。
真っ直ぐに、あたしを見て。
あたしは、大きく頷いた。
必ず、約束する。
もう、絶対に一人では涙は流さない。
恭平の言うとおり、今出来る事を必死にやっていく。
悔いの残らないように、一緒に前に進んで行こう。
もう、迷わまい。
目が覚めた――。



