「みんなと一緒に走り回ったりできるの……。
俺には、あと少ししか時間ねぇし」
頭を垂れたまま、恭平は微笑んでいる。
「だから俺は、今出来る事を精一杯やっていきたい。
たくさん物を見て、普通だって思う事をやっていきてぇ。
だって、その普通が出来なくなるんだから」
抑えきれなかった。
恭平の前向きな言葉を聞いた途端、涙が溢れた。
悲惨な現実を突き付けられている本人が、あたしの前で笑みを見せている。
それなのに、あたしときたら、泣いてばっかで。
支えると決めたのに、逃げる事ばかりしていて。
「莉奈、俺、だせぇけど正直怖いよ。
いつ、視力を失うんだろうって、一人になると震えがくる。今、目を閉じると、もう見えなくなってるんじゃないかとか、そんな事しか思えなくて、俺には、恐怖しかねぇ。
だけど、どんなに嘆き悲しんでも、現実って変わんねぇじゃん。
それなら、無駄に貴重な時間を過ごすよりも、今出来る事を一生懸命やっていくべきだって、普通にそう思わねぇ?」
微笑みながら言った後、恭平は立ち上がりあたしの顔をのぞき込んできた。
あたしは恭平の言葉に頷く事も出来ずに、涙を見られまいと顎を引いて顔を伏せた。



