無意識のうちに、あたしの足は教会へと向かっていたみたいだ。


もう、癖になってるのかな――…。


あたしは、敷地内に足を踏み入れるのを一瞬躊躇った。


今まで色を失っていたあたしの目に、色鮮やかな花が映る。


力の入らない足を引きずって、教会のドアに手をかけた。


ふわっと大きくなる音色に救われ、目の前に現れた美しいステンドクラスに、目を奪われた。


――きれい。


そう思った時だった。


今まで街中を包みこんでいた音色が、ピタッと止まってしまったんだ。


前方に置かれているパイプオルガンに目を向けると、そこには一人のおじさんが立っていた。


こちらに目を向けて、優しく微笑んでいる。


「これはこれは、かわいらしいお嬢さんだこと」


そう言って、おじさんが近づいてくる。


勝手に神聖な地に足を踏み入れてしまい、思わず二、三歩後ずさった。