結崎さんが店を去って一ヶ月が過ぎた。
世間はクリスマスシーズンに突入し、色とりどりのイルミネーションで埋め尽くされていた。
「サンタって、本当にいるのかな」
店頭に並べられたクリスマスグッズをぼんやりと眺めてつぶやく。
「いるわけないじゃん!サンタの正体はなぁ……」
「あー、もう。村岡くんって夢がないのね!」
「柚羽ちん、自分から聞いといてそれはないだろうが」
事務所のコルクボードに貼ったあたしの連絡先は店長によって剥がされた。
僅かな願い―――。
結崎さんが、あたしの番号を見て、もしかしたら電話をくれたりしないかな、などと思った。