「うちの店で一番、謎の多い人!」
「……えっ?怪しい人とか?」
「違うってー。オシャレで、大人って感じよ」
諒子は自慢げに言うけれど、想像すらつかない。
「元社会人で今は専門学校生。公務員目指して頑張ってるんだって」
「へぇ。マジメな人なんだ」
まだ一度も会っていない結崎さんの株が一気に上がる。
でも、次の諒子の一言で、それは急降下してしまった。
「で、元暴走族の総長!」
「……ぼっ……!!」
その数秒後。
「ちょっと!大丈夫だってば!!」
「イヤよ、絶対イヤ!」
あたしは流れ星にも劣らない速さで更衣室に戻り、制服を脱ぎ始めた。
諒子もあたしと同じくらいの勢いで必死に止める。