なんかもう……ダメ。

泣きそう……。


あまりにもうまくいかない現実。

最後の日に一緒に働けただけでも幸せなのだと、そう思わないといけないのに。


目に溜まった涙がこぼれそうになる。

完全に涙がこぼれ落ちてしまわないようにと、あたしは慌てて目を強く擦ると、バックルームを後にした。


店を出るときに、背中越しに聞こえた結崎さんの声……。



「お疲れ様でした」



静かに響く、大好きな結崎さんの声に……

あたしは振り返って挨拶を返すこともできなくて……。

余所余所しく頭だけを軽く下げて店を出た。


店を出たとたん、我慢し続けていた涙がぽろぽろこぼれ落ちた。


もう、泣いても大丈夫。

あたしは泣きながら、真っ暗な夜道を歩き始めた。