ドキッとして着信表示を見ると同じバイト仲間の志穂ちゃんからだった。

やっぱり、思い通りにはいかないものだ。



「はーい、もしもしー?」



がっかりした思いが志穂ちゃんに伝わらないように明るい声で出る。



『あ、柚羽ちゃん?』

「うん、どうしたの?」

『ごめん、今日、代わりにバイト出てくれないかな?サークルが長引きそうで、抜けるに抜けられないのよ』



志穂ちゃんも学部は違うけれど同じ大学だった。


結崎さん最後の日に結崎さんと入れ違いのシフトで入っていたという、あたしから見れば羨ましい限りの存在だった。



志穂ちゃんと替われば、22時から入っている結崎さんとすれ違いで会える。


あたしは二つ返事でOKし、研いでいる最中だったお米もそのままにしてアパートを飛び出した。