「ま、彼女にはかなわないよ」

「柚羽……」



諒子が何か言おうとしたけれど、あたしは席を立った。



「さっ、午後の講義始まるよ。早く行かないと良い席取られちゃう」

「あっ、そうだった!」



諒子はようやく我に返り、バタバタと食器を片付け始めた。



彼女がいることを知ってしまった以上、結崎さんに対して思いを伝えることなんてできない。


結崎さんも困るし、自分自身が惨めになっていくようだった。


悔いのないように気持ちだけでも…とは良く聞くけれど。


あたしにとっては、気持ちを伝えることそのものが後悔へと繋がってしまいそうだった。