酔った勢いで告白してから一ヶ月。

結崎さんとは当たり前のようにシフトがすれ違っていて、あれきり顔を合わせていなかった。



「あ、そうそう、柚羽ちん。店長が、固定電話ないんだったら携帯番号教えろって」



あたしの部屋には固定電話というものがなかった。

それどころかバイトに入ったばかりの頃は携帯電話さえも持っておらず、バイトを始めると同時に携帯電話を買った。


いつも同じ時間帯に入っている村岡くんとは大学の学籍番号が近いから、講義がほとんど一緒。

彼と顔を合わせない日は一日たりともない。


村岡くんが結崎さんだったらいいのに。

心の底から、何度も何度も、本気でそう思う。



「忘れないうちに書いてこようっと」



店長不在だったため、あたしはメモに書き残そうとバックルームに下がった。



『店長へ

連絡先 090-2×××-4×××です。沢井』