そう言って携帯を取り出した諒子がすぐに、
「番号が分かんない!番号案内って何番だったっけ?……あぁ、思い出せん!」
と落胆する。
「あたし、カラオケボックスに行ってくる!」
立ち上がって階段の方に向かうあたしを諒子が「あたしも行く!」と言って追いかけてきた。
「柚羽、大丈夫?」
「平気。一気に酔いが醒めた。ごめんね」
「いいって!」
あたしと諒子はまた来た道を戻っていった。
途中、バイト先のコンビニの前を通る。
「あらっ?」
コンビニの駐車場に停められている、見覚えのある赤いスポーツカー……。
結崎さんの車だった。