指輪をキュッと握りしめるあたしに、晶くんは国道に視線を向けて言った。
墓前……?
あたし……の?
晶くんが何を言っているのか……
どうして遼太郎くんがそんなことを言ったのか……
全く理解できなくて。
それなのに……。
ずっと胸にひっかかっていた『何か』が、少しずつ溶けていくのを感じた。
そして……。
その『何か』は晶くんが続けて言った言葉で、完全に形を無くした。
「柚羽さんが死んだとか言うんだぜ?まったく、酷いよね」
「……あたしが、死んだ?」
「いや、真に受けないでよ。遼太郎さんの冗談なんだって」
遼太郎くんが晶くんに言った、あたしが死んだという冗談。
冗談に決まっている。
それなのに……、無意識のうちにあたしは思ったんだ。
――あぁ、そうだった。あたしは……死んだんだ……。