「……そっか。そういうことがあったんだ」



永輝とのことをすべて晶くんに打ち明けると、彼は言葉少なに呟いて、うつむいた。


永輝と同じ名前の人が事故で亡くなったということは言えなかった。

あたしに協力して、永輝を探すと言ってくれた晶くん。


もしも彼が、真実を突き止めた時……

事故で亡くなった人が永輝であることを聞かされるのが怖かった。


永輝を探すあたしたち。

協力者の彼の口から永輝の死を聞くことは、見ず知らずの他人から聞くことよりも真実味があるから……。



あの日、国道で永輝を探していたあたしに声をかけてきた晶くん。

場所が場所なだけに、あたしはナンパ目的かと警戒心丸出しだったけれど、晶くんの『赤いスポーツカー』という言葉をきっかけに、彼に縋った。


とても協力的な晶くんは、『永輝探しのメモ』と言って、永輝に関わった人たちの名前などを詳しく手帳に記した。


永輝…、かんなさん…、遼太郎くん…、かんなさんのお兄さん…。

今となっては懐かしく思えて、晶くんの手帳を見るたびに、永輝とのことは夢だったのかとも思えた。