永輝と同じ名前の人が死んだ。

ただ、それだけなんだ。


あたしはそう思い直して、また、国道に行く日々を送る。


永輝を好きになったことで始まった幸せな日々。

同時にそれは苦悩の日々でもあった。


永輝に辛い思いをさせて、

そして、かんなさんの思いを傷つけた。



国道をいつものコースにしているのか、暴走族の集団が走り抜ける。



彼らの世界、永輝とかんなさんの世界。

あたしが深く関わらなければ、誰も傷つかずに済んだんじゃないかとひどく後悔する。


だけど、永輝を好きだと思った時には引き返すことなんてできなかった。

好きで…好きで……。


かんなさんのことを知ってもなお、永輝を思い、そして会いに来る永輝を拒まなかった。