だから……、もしも永輝に会えたら……。
決して忘れないように、胸の中にしっかりと刻み込むんだ。
静かに笑うクセ。
ゆっくりと落ち着いた喋り方。
永輝のぬくもり。
ほんのりと香る、永輝の匂い。
一瞬で恋に落ちた、あたしの大好きな人。
あたしはあなたを忘れたりしないから……。
「おっ、来た来た!」
あたしのすぐ後ろでそんな声が聞こえる。
アーケードに座り込んでいた若者が揃って立ち上がり、国道めがけて駆け寄ってきた。
遠くから聞こえる、無数の眩い光と、車とバイクの爆音。
それは、かつて永輝がいた世界の人たちだった――。