遼太郎くんに国道に連れて行ってもらった次の日の夜、永輝がアパートにやって来た。
永輝の口許には青アザがあった。
「どうしたの、それ…」
開口一番にあたしが青アザに触れると、永輝は苦笑して「遼太郎にやられた」と言った。
「……あいつに殴られるなんて、初めてだったよ」
永輝は定位置となったソファに腰を下ろすと、タバコに火を点ける。
青アザに気を取られていたあたしは慌てて灰皿を差し出す。
「中途半端なことしてんじゃねぇって。どっちかにしろってさ」
永輝は笑いながら煙をゆっくりと吐き出す。
昨日、遼太郎くんから永輝の話を聞いて、あたしは永輝が選ぶのはかんなさんだと思った。
「かんなさんの方にしなきゃ」