「……なぁ、柚羽ちん」



ある日のバイト中、村岡くんがニヤニヤしながらあたしに擦り寄ってきた。

村岡くんや諒子には永輝とのことを話していなかった。


友達なら言うべきなのだろうけれど、関係が曖昧すぎて言うに言えなかった。

それよりも、彼女のいる結崎さんとの関係を話すことによって、二人との友情を失うことが怖かった。



「なによ、気持ち悪いなぁ」

「結崎さんと付き合ってるだろ」



そう耳打ちしてきた村岡くんの言葉に、補充のために両手に抱えていたポテトチップスの袋を全部落としてしまった。



「なっ、なに、それ!」



別に付き合っているわけではなかったけれど、永輝と会っていることがバレたのだとあたしは焦った。