†Orion†



熱く火照る顔を隠すようにうつむいていると、今度は杉浦さんが俺のことをそう呼んだ。

思わず顔をあげると、杉浦さんは余裕たっぷりの笑顔だ。


バカみたいに照れている俺とは大違い。

そこに、俺に対する彼女の気持ちが、俺とはあきらかに違うことを悟る。



「斉藤くんや弘美ちゃんが下の名前で呼んでくれるのに、あたしは苗字……っていうのも悪いしね」


「そうそう。あっ、斉藤くんじゃないですよ~」


「あら、つい……」



フフッと笑ったあと、杉浦さんは満面の笑みでもう一度、俺の名前を呼んだ。



「ね? 雅人くん――……」