「え、そうなのか? そんな話、初めて聞いたぞ?」



……いや、俺も初めて聞いたし。


あんぐりと口を開けている俺を、店長は驚きを隠せない表情で見ている。


ちらりと、料理長と目が合った。

彼は意味深な視線で、こちらを見ている。



あぁ、なるほどね。

この三年、料理長に従事していた者だけに分かる、この視線の意味。



「そう……、そうなんです。ここの厨房の仕事に興味があって、料理長に相談していたところで……」


「おまえなぁ、それならそれで俺にちゃんと言えよ」



一人蚊帳の外だった店長は、拗ねたように言った。