「おはよう、斉藤くん」 フード付のトレーナーにジーンズという、いかにも運動会スタイルの杉浦さん。 ビックリしたまま固まっている俺を見て、にこにこ笑っている。 「あの……、今日は休みじゃ……」 「うん。卵焼き、持ってきたの。お弁当作るついでに、斉藤くんの分も」 言いながら、杉浦さんは淡い黄色のハンカチで包まれた弁当箱を見せる。 「わざわざ持ってきてくれたんですか?」 俺のために? 卵焼きの約束を覚えていてくれた? 「わざわざっていうか……。ちょうど、保育園に行く通り道だったし」