「……大きくなったな」 小学生だった奈緒ちゃんは、背が伸びて、顔つきも少し大人びていた。 肩まである漆黒の髪の毛。 笑うと、やっぱりどこか優菜に似ている。 「“料理長”。すごい、出世したね」 俺の胸元につけられた名札を見て、奈緒ちゃんは溜息を漏らす。 「それより、どうしてここに?」 「……お迎えにあがりました」 顔をしかめながら訊いた俺に、奈緒ちゃんはおどけたように言った。