“気長に待つよ”


そう言った俺に。


“迎えに来てほしくなったら、連絡する”


彼女は少し笑って言った。



七年ものあいだ、携帯の番号は変わっていない。

店のスタッフには、もしも、誰かから俺を訪ねて店に電話があったら、携帯の番号を教えるように伝えている。


だけど、携帯も鳴らなければ、店に電話がかかってくることもない。

尋ねてきたのは、優菜じゃなくて、心当たりもない妙な中学生くらいの女の子。



会えなくても、連絡が途絶えても。

いつも優菜のことばかりを思っている。