「……俺は結婚には賛成できん」
「親父……っ」
「私もよ、雅人」
一筋縄ではいかないことくらい予想できていた。
すっかり閉口してしまった親父に代わって、今度はお袋が口を開く。
「社会人になったばかりなのに、それでいきなり結婚して二児の父親になるなんて。……ちょっと簡単に考えすぎよ」
「簡単には考えていないよ」
「そう? 休みの日に、子供さんたちの面倒をちゃんと見てあげられるの? 子育てはあなたが思うよりも大変なのよ?」
今の俺の休みの日の過ごし方っていえば……
連日の勤務で疲れた身体を癒すように、何もせず、ただ部屋でゆっくり寝ているだけだ。


