「……あのさ、親父」 空になった親父のグラスに酒を注ぎながら、俺は本題に入る。 「結婚したい人がいるんだ」 そう切り出すと、台所からガシャンという何かを落としたような音がした。 振り返ると、お袋がひどく驚いた顔でこちらを見ている。 「……お袋もちょっと来て」 俺が言うと、お袋はエプロンで手を拭きながら慌ててやって来た。 「結婚……ってあんた……、まさか妊娠……」 「子供でもできたのか?」 同時に問いかける両親。 突然の結婚話は、やっぱりそういう方向にいくのか。