†Orion†



「あんた、大学に入ってから女っけゼロじゃん。彼女は? 好きな子は?」


「……好きなやつならいるよ」



ボソッと言うと、弘美はそれまでの勢いをなくして、目を丸くする。



「へぇ、いるんだ! ねぇ、どんな子? うちの大学?」


「……バイト先! それ以外のことは教えねぇからな」


「なんでよっ!」


「だっておまえ、店まで見に来るから」



図星だったらしく、弘美は「ぐっ」と口をつぐんだ。